ビタミンK製剤について

仕事のこと

本日、とある患者さんに下記の処方が出た。

Rp.1 ケーワン錠5mg 3T×3 毎食後 14日分

えk-1、、、?ケーワン?知らない薬なので調べてみるとビタミンK1製剤のよう。ビタミンK2はよく見かけるが、K1製剤を見たことが無かったのでまとめてみることとした。

ビタミンKについて

天然に存在するビタミンKにはK1とK2との2種類がある。

K1(フィロキノン):緑黄色野菜、海藻類、緑茶、植物油に含まれる。

K2(メナキノン):腸内細菌で合成される。

ビタミンKの主な生理作用は以下の通り
①プロトロンビンやその他の血液凝固因子を活性化し、血液凝固を促進する。
②骨に存在するタンパク質であるオステオカルシンの活性化し、骨形成を促進する(主にK2)。
③ビタミンK依存性蛋白質MGPの活性化を介して動脈の石灰化を防止する。

ワーファリンはこのビタミンKの作用に拮抗することで抗凝固作用を発揮するのは有名ですね。

ビタミンK製剤

ビタミンK製剤にはK2(メナテトレノン)製剤、K1(フィトナジオン)製剤がある。

メナテトレノン製剤

ケイツーシロップ

新生児のビタミンK欠乏性出血の予防に用いられる。新生児・乳児への予防的ケイツーの投与は小児科学会からも進められている。

参考HP:新生児と乳児のビタミンK欠乏性出血症発症予防に関する提言

3か月法で下記のタイミングで合計11回内服する。
①出生後
②生後1週間(産科退院時)
③2回目から1週間ごとに11回

薬価:ケイツーSY 23.7円/ml
包装:1ml/包×50包

ケイツーカプセル

ケイツーSYの用法に加え、下記の適応がある。
・分娩時出血
・抗生物質投与中に起こる低プロトロンビン血症
・クマリン系殺鼠剤中毒時に起こる低プロトロンビン血症

用法用量:適応により20~40mg(4~8C)を1日2回に分けて投与。適宜増減あり。

薬価:ケイツーカプセル 16.4円/C

ケイツー製剤には静注もあり、ケイツーカプセルの他に更に胆道閉塞・担就分泌不全による低プロトロンビン血症が適応として加わる。

K1(フィトナジオン)製剤

ケーワン(フィナトジオン)

・ビタミンK欠乏症の予防及び治療
各種薬剤(ワルファリン、サリチル酸、抗生物質など)投与中に起こる低プロトロンビン血症、胆道及び胃腸障害に伴うビタミンKの吸着障害、新生児の低プロトロンビン血症、肝障害に伴う低プロトロンビン血症
・ビタミンK欠乏が推定される出血

用法用量:
通常成人1日5~15mg、新生児出血の予防には母体に対し10mg、薬剤投与中に起こる低プロトロンビン血症には20~50mgを分割投与する。→1日薬価(20mgの場合)42.4円

薬価:10.6円/T

新生児の出血予防的VK製剤はケイツーだけかと思っていたが、どうやらケーワンという薬剤もあるようた。ただ剤形を考慮するとケーワンは錠剤しかないため、新生児には使いにくそうだ。
「新生児・乳児ビタミン K 欠乏性出血症に対するビタミン K 製剤投与の改訂ガイドライン」でもケイツーシロップが勧められているがケーワンは名前が出てこないし。

おまけ

ちなみにK2製剤にはおなじみのグラケー(エーザイ)もある。ビタミンK製剤と言えば、最初に浮かぶのはこのグラケーなのではないだろうか。

グラケーはケイツーと同じ成分のメナテトレノンだが、用法用量適応が異なり、コチラは適応が骨粗鬆症となる。剤形はカプセルのみ。

追記 2025/4

最近、先に述べた処方の患者に変更があった。

Rp1.グラケーカプセル15mg 1C1× 就寝前 14日分
グラケーはケイツーと同じメナテトレノン製剤であるが、適応が異なる。グラケーは骨粗鬆症のみだが、いきなり骨粗鬆症が始まったとは考えにくい。もしかしたらケーワン1日3回のコンプライアンスが悪く、1日1回で済むように敢えてグラケーに変更している可能性もある。
残置薬なので詳細は不明だが、これは患者が来局したら聴取しなくては。

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