タフチモ配合点眼「NIT」はタプコム配合点眼のGEである。価格は先発医薬品の約半額でうちの薬局でも既に8,9割の患者さんがGEに切り替え済みである。
タフチモ配合点眼液は2025年5月19日時点で東亜薬品からしか販売されていない。2023年9月に販売開始されておりかれこれ1年半以上経過している。
そんな中、今更ロートニッテンからもタフチモ配合点眼液「日点」が販売される予定だという。
もうGEが販売されて大分経つのに上市しても既にNITがシェアを占めているし、何より患者さんも東亜薬品の平べったい容器で馴染んでしまっているだろう。
それを今更別メーカーに変更する利点って患者さんにあるのか?価格も恐らく東亜薬品と変わらないのであれば何が利点なのかますます分からない。
「日点」と言えば、ロートニッテンの伝家の宝刀PFデラミ容器が有名だ。
PFデラミ容器とは特殊なフィルターを付けた容器を採用することで、防腐剤無添加で5mlの容量を保つことができるものである。
ただし、タフチモ点眼配合液「日点」にはこの容器は採用されず、普通点眼用意である。また先発医薬品のタプコムと同じ製剤設計というのが唯一の売りとなっており、防腐剤として塩化ベンザルコニウムが添加されている。
確かに緑内障を患う患者は高齢者が多いだろうし、PFデラミ容器は開栓操作必須かつ点眼しにくいため高齢者からは偉く不評であった。PFデラミ容器は年齢層が高い眼科疾患には向かないだろう。
ということで、ウリは先発と製剤設計が同じであるという1点だけである。この唯一の武器だけ引っ提げて既に東亜薬品がシェアを占めている市場に参入してきたのだった。
ロートニッテンの上層部には先見の明が無い方が居るのだとお見受けする。負け戦だろ、こんなの。
管薬と在庫担当者に今後「日点」を在庫するつもりなのかを聞いたところ、門前眼科医からのお達しがあれば入れるけど、それが無ければ在庫しないとのこと。至極真っ当だと思う。
門前の眼科医もGEメーカー指定して処方を出すのは法的な面で色々と面倒だしリスクもあるだろう。変わらず一般名処方をするに違いない。となると、こちらとしては患者さんのメリットを考えても今までと同じ薬を選択すると思われる。
ロートニッテンのMRがどれだけ眼科医にアピールできるかがカギになるが、勉強会のMRの対応を見るにプレゼン能力は心もとない感じ(ごめんなさい)だったので眼科医も社交辞令を放って終わりかなと。
下記勉強会で改めて確認した点
・眼瞼色調変化、眼周囲の多毛は投与中止後徐々軽減するが、虹彩色調変化は投与中止しても不可逆的な副作用である。
・眼類天疱瘡:緑内障の点眼の副作用として稀に起こることがある。角膜や粘膜の組織が炎症を起こし、水疱や潰瘍ができる自己免疫疾患。PG製剤やβブロッカーが引き起こす可能性がある。
・点眼における生物学的同等性:ph、粘度、粒子径等の物理化学的性質が近似していれば生物学的に同等とみなせるらしい(本当か?)