クービビックとオレキシン受容体拮抗薬の比較

仕事のこと

昨年、デエビゴに続く新しい眠剤が上市されたという話は聞いていた。

その名もクービビックで、ベルソムラ、デエビゴに続く3製品目のオレキシン受容体拮抗薬である。

その後、処方で見かけることも無かったが、最近都内の面処方でクービビックを見かけたので忘備録として記録しておく。

まずはクービビックの基本情報について

クービビックについて

製品名:クービビック25mg/50mg

一般名:ダリドレキサント

薬価:25mg錠 57.3円/錠 50mg錠 90.8円/錠

発売日:2024年12月

用法用量:通常成人には1日1回50mgを就寝直前に経口投与する。

製造販売:セクセラファーマジャパン
販売元:塩野義製薬

製品名の由来:QUEST(探求)+VIVIA(生き生きとした)+IQ(特性・叡智)に由来する。

オレキシン受容体と睡眠の関係

神経ペプチドであるオレキシンはオレキシン受容体(OX1R、OX2R)を介して覚醒の安定化及び睡眠の抑制を行っている。

オレキシン作動性神経は覚醒維持に関わる神経系に広く投射しており、睡眠・覚醒の主要な調節因子であるオレキシン受容体と結合することにより活性化すると考えられる。

オレキシン受容体にはOX1R、OX2Rの2種のサブタイプが存在し、近年の研究ではOX2Rの方が睡眠・覚醒リズムの調節や覚醒からREM睡眠、non-REM睡眠への移行により重要な役割とになっていることが示唆されているが、生理的には両方の受容体が睡眠・覚醒の制御に関与しているとされる。どちらか片方を強く抑制するより両方の受容体を抑制する方が強い睡眠促進作用があると考えられている。

オレキシン受容体拮抗薬の比較

オレキシン受容体拮抗薬の懸念事項等して翌朝に眠気が残る懸念がある。その場合はデエビゴより半減期が短いクービビックを選択することが有効な可能性がある。

ただし、高齢者の不眠で多剤の相互作用が懸念される場合は併用禁忌の少ないデエビゴを選ぶ方が無難だろう。

個人的な意見

色々な医師のブログを読んだところ、入眠困難が強い場合はクービビックを検討するケースが多いようだ。理由は半減期が短く、持ち越し効果が少ないと考えられるから。一方で、中途覚醒、早朝覚醒があるならデエビゴを選択するとのこと。

個人的な感想は、、、ベルソムラとあまり変わらない印象。併用禁忌もCYP3A4を強く阻害する薬で同じだし、Tmaxも半減期も似ているし。強いて言うならベルソムラは一包化不可だけど、クービビックは一包化できそう、くらいな点ですかね。薬価もややベルソムラの方が高いけど、10円くらいしか違わないし。敢えて使うにはメリットが弱そうなので今後も一部のマニアックな医師しか処方しなさそうな気がします(地元での処方例は今のところなし)。

そもそも今の高齢者の不眠は昔からの悪習でエチゾラム、ゾルピデムがまだ多数を占めてますしね。この手の眠剤を長年使用していた人がいきなりオレキシン受容体拮抗薬への切り替えはリスクが高いでしょうし。

これから新規で開始する不眠治療で使用するかどうかといったところでしょう。

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