アスパラカリウム散の限定出荷から知る製薬業界の闇

仕事のこと

昨今、アスパラカリウム散50%が限定出荷状態となっている。

お店のスタッフはみんな流通不良の一言で済ましているが、私は相変わらず何故限定出荷状態なのか理由を調べないと気が済まない。

というのも、ただの販売移管による限定出荷の場合、販売移管先のメーカーの物であれば普通に入ってくることがあるからだ。

さて、改めてアスパラカリウム散の製造販売元について。もともとはニプロESファーマであったが、2024年にニプロが吸収合併することで、2024年5月時点で製造販売元はニプロに継承されている。

参考資料:医薬品事業再編に関するお知らせ

 

 

そもそもニプロESファーマはニプログループのGEと長期収載品を取り扱う会社として2017年10月に発足した。ESはEstablish、Essenntialの2文字を取って名付けられたらしい。

そしてさらにいうとニプロESファーマは田辺三菱製薬の子会社である田辺製薬販売株式会社がニプロにM&Aされて設立されたようだった。ということで元をたどればアスパラカリウム散は田辺三菱が製造販売元で、2010年にM&Aに伴い、販売移管されたのだった。

そもそものニプロESファーマの設立も今流行りのM&Aでしたか~┐(´д`)┌ヤレヤレ

参考資料:ニプロESファーマ株式会社発足について

 

発足から7年程で田辺三菱販売の流れを汲むニプロESファーマが完全に消滅したが、将来的には完全に吸収するつもりだったのかも知れないですね。7年の時間をかけて田辺三菱販売会社の文化を完全に消し去り、ニプロの文化を浸透させることに成功したということなのでしょう。

ニプロには別に子会社としてニプロファーマ株式会社もあり、そちらは医療用医薬品の製造販売を行っており存続もしている。

ニプロファーマの薬で何かないかな?と思ってニプロファーマのHPを調べてみると、驚いたことに20品目も無かった。ただ、その中にうちの薬局でもお世話になっているトランサミンSYがあった。

参考HP:ニプロファーマ医療用医薬品一覧

 

話を戻して2025年2月、三菱ケミカルグループは子会社の田辺三菱製薬を米投資ファンドのベインキャピタルに5100億円で売却することを発表した。なんでも収益が低迷している本業の化学系事業の立て直しを図るためらしい。

参考HP:三菱ケミG、田辺三菱製薬をベインに売却 5100億円で(日本経済新聞)

そして7/1付で、米ベインキャピタル傘下の投資ファンドに株式が譲渡され、社名も田辺ファーマに変更された。

いや~世知辛い世の中ですね。とうとう田辺三菱製薬を切り離すんだと驚いてしまいました。今は外資も多く参入してきているし、見たことも聞いたことも無い製薬企業が増えてきている。限定出荷から気づくとどこもかしこも販売移管。もう製薬は継続して売上を上げられない業界なのかもしれません。

 

アスパラカリウム散の限定出荷から色々な歴史を知れて満足。あとは最初の問題のアスパラカリウム散がどこに発注したら入荷してくるんだろうという点だけ。

ニプロESファーマとニプロは恐らく全国の卸が共通して取り扱っているだろうから、今までと同じ卸でも大丈夫かとは思う。販売移管に伴う限定出荷なのでいずれ流通も安定してくるだろう。

それはそうと、販売移管は結構だが、お宅の会社のお家騒動や売上は世間は知ったことではない。継承するなら流通が滞りなくしてもらいたいものである。

元凶は三菱ケミカルホールディングス及び旧田辺三菱製薬にあるような気がする。買収される会社は得てして運営陣がバカな場合が多い。

まあ、旧田辺三菱製薬は今までもトカゲの尻尾切りをしてきたのだろうが、今回は自身がグループから売り飛ばされるわけだ。

三菱ケミカルもどんどん縮小しながら最終的には経営陣だけになったりして…。

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