入院中の患者からの処方せん

日常のこと

入院中のPtの処方せんの取り扱いについての忘備録。

通常、入院中はその病院内で疾患のフォローを受けるため、院外処方せんが発行されることはない。

しかし、入院している病院以外での診療が必要な場合は、入院先の病院から診療可能な病院に診療を依頼し医師の診断により処方せんが発行されることがある。

こうして発行された処方せんを応需した場合は通常の院外処方せんと異なる取り扱いが必要となる。

1.入院中の処方せんかどうかの判断

入院中のPtの院外処方せんである場合、保険請求に関わる事項なので処方せんの備考欄に下記を記載する決まりとなっている。

「入院中のPtである旨」
「入院医療機関の名称」
「出来高入院料を算定しているPtか否か」

これらの記載をもって薬局では初めて入院中のPtの院外処方せんであることが分かるのである。

2.薬局での請求方法

入院時に受けた治療に対する支払方法として「出来高払い方式」と「包括医療費支払い制度方式(DPC:Diagnosis Procedure Combination)」がある。

出来高払い方式:従来からある制度で、診療行為である検査や投薬を行うと毎に決められた報酬点数を加算する方式。

DPC制度方式:厚労省が定めた診断群分類ごとに決められた1日当たりの定額の点数からなる包括評価部分(入院基本料、検査、投薬など)と、従来通りの出来高評価部分(手術、胃カメラ、リハビリなど)を組み合わせて計算する方式。

こうした入院先の医療機関の算定方式により、薬局での請求方法も変わってくる。

①出来高払い方式 かつ 療養病棟入院基本料、有床診療所療養病棟入院基本料、特定入院基本料等を算定していない場合

これは一般的な病院に入院しているPtの場合で、薬局でも調剤料などを算定することができる。

②出来高払い方式 かつ 療養病棟入院基本料、有床診療所療養病棟入院基本料、特定入院基本料等を算定している場合

急性期の医療を終えたPtが長期に渡って入院するのが療養病棟。出来高払いの病院でも「病棟療養入院基本料」を算定している場合は薬局が保険請求できないものがある。

③DPC算定病棟に入院している場合

この場合は調剤報酬にかかる費用の全てを薬局から保険請求することができない。薬局への支払いについては保険医療機関との合議による清算が必要になる。病院との清算についてはそれぞれの病院に問い合わせを行う。

簡単に表にまとめるとこんな感じ。

入院先の病院の支払い方式 算定可能な点数
出来高支払方法の病院 ①療養病棟入院基本料、有床診療所療養病棟入院基本料、特定入院基本料等を算定している場合 調剤技術料 調剤基本料
薬剤調整料
薬学管理料 服薬情報等提供料
薬剤料 薬剤料
特定保健医療材料料
②療養病棟入院基本料、有床診療所療養病棟入院基本料、特定入院基本料等を算定してない場合 調剤技術料 調剤基本料
薬剤調整料(1日分)
薬学管理料 服薬情報等提供料
薬剤料 薬剤料(1日分)
③DPC算定病棟 調剤技術料 算定不可
薬学管理料
薬剤料

以上。

そういえば、こがねむしが勤める薬局でも実際に何回か入院中のPtの処方を応需したことがあった。

初めてそういった事例を見たのはまだ薬剤師になって3,4年目くらいで当時はこういった記載も無く、投薬時の会話から「入院中でね~」なんて話を聞き取り大慌てしたこともあった。ホント、記載漏れとかPtに迷惑がかかるので勘弁して欲しいものです。

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