点眼のステロイド薬の種類と選択について知識が曖昧なので整理する。
ステロイド点眼の臨床上の強さの分類
臨床の場では、角膜への浸透性や角膜通過時の代謝による違いなどを考慮し、薬剤の性質や濃度などを参考に、眼炎症に対するステロイド点眼薬の作用の強さの目安を決め、炎症の重症度に応じて使い分けている。
作用 | 一般名 | 製品名 | 濃度 |
強 | リン酸ベタメタゾン | リンデロン | 0.1% |
デキサメタゾン | サンテゾーン | 0.1% | |
中 | デキサメタゾン | サンテゾーン | 0.02% |
リン酸ベタメタゾン | リンデロン | 0.01% | |
フルオロメトロン | フルメトロン | 0.1% | |
弱 | フルオロメトロン | フルメトロン | 0.02% |
ステロイド点眼の作用の強さ
局所ステロイド薬の副作用について
ステロイドによる眼圧上昇は通常可逆的である。早期に発見し、点眼中止や点眼回数を減らすなどの管理により、1~4週間で眼圧は正常化することが多いが長期投与では不可逆的となることともある。
したがってステロイド点眼使用中は、2,3週間ごとに眼科での検査を行う必要がある。
ステロイド点眼により眼圧が上昇するかどうかは遺伝的な要因も関与しているが、かなりの頻度で起こりうる。ステロイドどであれば種類、投与量、経路に関わらず眼圧上昇をきたしうるが、用量依存性である。
アレルギー性結膜炎疾患に対する局所ステロイド薬の使い方
スギ花粉症によるアレルギー性結膜炎では、通常、中程度の強さの0.1%フルオロメトロン点眼薬を1日2~4回用いる。低濃度の0.02%フルオロメトロン点眼薬ではあまり効果は期待できない。
春季カタル、アトピー性角膜炎などの重症例では治療の基本は抗アレルギー点眼薬である。しかし、ほとんどの場合、それだけでは症状を押さることは難しく、ステロイド点眼を併用することが多い。ステロイド点眼による眼圧上昇を避けるために、0.1%タクロリムス点眼薬などの免疫抑制点眼薬も選択されるようになってきている。
中等症の春季カタルの場合は、抗アレルギー点眼と免疫抑制点眼で治療を開始し、充血、眼脂増強などの結膜炎症状が悪化するに中程度のステロイド点眼を追加する。
ちなみにカタル、という言葉の意味は粘膜で起こる滲出性の炎症のことを指すらしい。
以上。
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