伝染性単核球症(EBウイルス感染症)

仕事のこと

つい最近、20代前半の若者に下記の処方が出た。

Rp1.グリチロン配合錠 3T3×毎食後 30日分

この若さで肝機能に問題が…?

疑問を抱きつつ、いつものようにどういう経緯で受診に至ったのか聴取すると、咽頭痛、倦怠感、発熱できた、との返答。

 

通常風邪で処方される薬ではなかったので、もう少し突っ込んで聞いてみると。

 

最初は咽頭痛、倦怠感、発熱で受診したが、血液検査などの各種検査の結果、伝染性単核球症と分かり1週間入院していたとのこと。

伝染性単核球症、、、、どこかで聞いたことがあるようなないような、調べてみると別名EBウイルス感染症で唾液を通じて感染するため、キス病という異名を持っていた。そのインパクトのある名称で、普通に薬学生時代に習っていたことを思い出した。

12年薬剤師をやってきて初めての症例なので、罹患率は低めなのかも知れないが忘備録としてまとめておくこととした。

伝染性単核球症

伝染性単核球症とは

EBウイルスによる感染症で、主に青年層に発症する。症状は様々だが、最も多いのは極度の疲労感、発熱、咽頭痛、リンパの腫れである。

EBウイルスはヘルペスウイルス4型と呼ばれるヘルペスウイルスの一種である。95%以上の人が成人までに感染し、米国では5歳児の約50%、成人の90%以上がEBウイルス感染症に罹患している。

EBウイルス感染症の大半は無症状である。伝染性単核球症という病名は感染者の血液中に特定の種類の白血球が多数みられることに由来する。若年層では通常EBウイルス感染者とのキスを介して感染する。

EBウイルスはバーキットリンパ腫や鼻やのどに発生する上咽頭がんなどのがんや多発性硬化症が発生する要因になることがある。

症状

5歳未満の小児では大半が無症状となる。青年以降では発症することもあれば、発症しないこともある。潜伏期間は通常30~50日ほどで主な症状は下記の4つ。

・極度の疲労感
・発熱
・咽頭痛
・リンパの腫れ

治療

ウイルス性疾患ということもあり基本は安静と対症療法。発熱と痛みの緩和にはアセトアミノフェンやNsaidsの解熱鎮痛薬を用いる。

以上。

罹患率は低いのかと思いきや大多数の人が既に感染しておりEBウイルスを保有しているようだ。日本では2〜3歳までに7割が感染しほぼ無症状で済んでいるとのことであまりお目にかかったことがなかったのだろう。

きっと私も保有していることだろう。

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