アデホスコーワ腸溶錠と顆粒の違い

仕事のこと

門前の病院より下記処方があった。

Rp1.メリスロン錠6mg 6T3×毎食後 14日分
Rp2.アデホスコーワ腸溶錠60mg 3T3×毎食後 14日分

処方を見てもめまいで受診されたのは明らかである。処方せん持参の家族に聞くと、本日午後より急に激しいめまいに襲われ、本人は現在病院で点滴を受けているという。

頭部のMRIは撮ったが特に問題ないとのことだった。

うちの薬局には腸溶錠の在庫が無かったため、アデホスコーワ顆粒 3g3× 14日に疑義照会にて変更したが、添付文書を確認すると両者は適応が異なっていた

アデホスコーワ腸溶錠20mg/60mgの効能効果

下記疾患に伴う諸症状の改善
・頭部外傷後遺症
・心不全
・調節性眼精疲労にける調節機能の安定化
・消化管機能低下のみられる慢性胃炎

アデホスコーワ顆粒10%の効能効果

下記疾患に伴う諸症状の改善
・頭部外傷後遺症
・心不全
・調節性眼精疲労にける調節機能の安定化
・消化管機能低下のみられる慢性胃炎
・メニエール病及び内耳障害に基づくめまい

ということで、めまいに適応を持つのは顆粒製剤の身のようだった。当該患者はめまいなので結果オーライであったが逆の疑義だったら危ないところだった。

おまけに作用機序もおさらいしておこう。

アデノシン三リン酸二ナトリウムはATP製剤である。ATPは血管の拡張作用を有しており、臓器の血流を改善し、組織代謝を賦活化する。日本では1958年に注射薬として筋・神経疾患に対する適応が認められて以来、循環改善・代謝賦活薬として使用されてきた。1964年には経口薬も上市されている。

アデホスコーワ顆粒がめまいに対する適応を持つのは用量反応試験においてATP150mg/日群と300mg/日群で比較した結果、後者の方が優位に症状の改善がみられたことによる。

添付文書の用法用量を見ると、頭部外傷後遺症などは1回40~60mgを1日3回だが、めまいのみ1回100mgを1日3回と多くなっているのはそのためである。

ただ、個人的にはめまいは愚か心不全や頭部外傷後遺症でアデホスが本当に効果を発揮しているのか疑問に感じるところではある。アデホスコーワ顆粒はまだ需要がありそうだが、腸溶錠なんて数年見ていないし。

今後かつてあった消化改善薬のダーゼンみたいに無くなるのではないだろうかと思っている。

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